2017/12/07

トビタテ5期生:カンボジアの子供たちの生活の質向上のために~

トビタテ5期 初等教育学科 K.Mさん
【留学計画】カンボジアの子どもたちの生活の質の向上のために。初等教育という専門を活かし、教材を開発する!
【留学期間】13か月

【トビタテに応募するまで】

文科省の奨学金であるトビタテを利用してカンボジアに1年と少しの間滞在することになったが、きっかけは2015年に学内の「カンボジア海外教育研修」というプログラムで1週間程度カンボジアに滞在し、実際に現地の教育機関に入り込み活動をしたことで、様々な疑問や仮説が自分の中に生じたことによる。当時は時間も限られており1つの学校を断片的にしか見られなかった。また日本とは全く異なった教育環境に置かれている子どもたちを見て、モヤモヤを残したまま帰国したのを今でもよく覚えている。今度はもっと長期で現地の人と混じって活動をし、カンボジアの教育の本質を探ろうと決意した。具体的な活動としては、私の頭の中にあった仮説「①開発援助において緊急人道支援分野以外でモノやカネをあげているだけでは全く意味がなく、持続可能な開発という意味で一番効力を持つのは、次世代に続いていく教育分野なのではないか②現地の公教育で十分な栄養、衛生/保健に関しての教育が行われていないから、HIV感染率が依然として高いままだったり、病気になりやすい体になってしまったりするのではないか」を検証するため、カンボジア側の受け入れ機関の方、CIEの職員の方々、国際学科、初等教育学科等の教授の方々に同時並行的に相談しつつ、現地の大学機関、初等教育学校でインターンシップを行うという計画書を作り上げ、文科省に提出した。

トビタテの二次面接で、企業の方との個人面接があったのだが、自分の口からごく自然に今持っている問題意識、留学の計画やその後の展望などの話が出てきて、面接官の方に訴えかけている自分がいた。この自分に客観的に気づいた時、自分は心の底から留学したいのだと再確認した。また渡航前のトビタテコミュニティでは、分野は異なるものの、熱い情熱を持って世界に羽ばたこうとする同士たちと横のつながりができた。合格してからも頻繁に情報交換を行い、高いモチベーションを維持し続けることができた。

【渡航中】

私は初等教育機関に配属されたら、主に「栄養/衛生、保健分野」に注目し、上記に挙げた仮説を検証するつもりであった。しかし、実際に長期で(都市だけでなく農村地方も含む)現場に入ってみると、義務教育は無料と言いつつも無料ではないせいで基礎教育にアクセス自体できない貧困層の子ども、文字の読み書きができない子どもを目の当たりにし、「栄養、衛生/保健教育」よりもまずは「識字、読み書き計算等の基礎教育」をすべての子どもに提供させることが優先度で言ったら上位にくると感じた。カンボジアでもルワンダでも農村の子に多かったのが、就学率は高くても児童労働などでドロップアウトしてしまうというケースだ。教育は確かに重要で必要である。しかし教育の問題だけを見ていても物事は全く解決しない。根底で深く結びついている貧困、格差、インフラ欠如などにも目を向けなくてはならない。特に貧困層の方々が、自分たちで自立して収入を得られるくらいに経済的に自立すべきだと思う。これに関して、1番心に残ったプロジェクトがある。

それがアフリカのルワンダに渡航した際、国際機関FAO主導の、WFP,IFAD,UNWOMENとの農村における女性への経済的エンパワメントの協働プロジェクトであった。このプロジェクトでは、まず十分な知識を持った国連職員が農村の長を育て、その長が農民に、直接的に知識や技能などを伝授するという形式をとっていた。農作物の効率的な育て方や収穫方法の享受にとどまらず、コンフリクトマネジメントの手法や、栄養/衛生,保健などに関しての知識享受、家計におけるお金の効率的な使用方法、男女平等に関してのレクチャー、ビジネスを始めるにあたっての知識享受などを長期的なタームで、包括的に行っていた。これは長期的なプロジェクトだそうだが、始めたことで、ビジネスを営んで家庭の収入が上がったり、夫が家事や育児などに協力的になり、家庭が上手く回り始めたり、子どもを学校に行かせられるようになったそうだ。確実に彼らの生活が上向きになったという。これは一時的ではなく、持続可能な開発の形だ。非常に地道だが、このような地道なプロジェクトが、彼らの経済基盤をより強固なものにし、さらに福祉や教育の恩恵なども段階的に受けられるようにしていくというのは非常に持続的な開発の在り方であると実感したし、私がまさに知りたかったようなことがこのような形で知ることが出来たのは非常に幸運であったと思う。

【これからの展望】

大学で初等教育学の学位を取得後、自らの専門性を高めるとともに、海外の舞台で優秀な人材と戦っていけるだけの語学力を身に付けるために、英国へ留学し「国際教育開発」と「金融学/開発経済学、ソーシャルビジネス」を専門とし、ダブルディグリーで修士を取得することを考えている。その前後には、ビジネスを通じて貧困者の抱える問題を解決しようと試みる組織でインターンをしたり、インドへビジネススクールに通うために留学したりするつもりだ。

カンボジア、ルワンダでの滞在中、さらにアジア圏をバックパック中に様々な国で見た、不利な立場に置かれていて将来の選択肢の幅が生まれながらにして狭められている子どもが依然として多く存在しているという事実が忘れられなく、将来的にはSDGsに唄われているように、すべての子どもが教育にアクセスでき、かつ質の高い教育が受けられるようになるというゴール4の部分に少しでも貢献できる人材になりたいと考えている。教育はすぐに効果が出るわけではなく非常に地道であると思うが、貧困層の彼らの自立、そして持続可能性という観点では、非常に大きな力を持ちうるだろうと思うし、可能性に満ちている分野だと考えている。様々な発展途上国と呼ばれる国に行き、貧困にあえぐ人々の姿も見てきたが、「もし私がここに生まれていたら?もし私がこの子だったら?」と考えると、日本に生まれた私のように、モチベーションを保って将来のキャリア構想をわくわくしながら考えることもできていなかっただろう。そう思うとどこの国に生まれたとしても、自分で将来のことを決められる権利があることは非常に重要であろう。

しかし、教育の前にはインフラ整備や所得自体の向上など、様々なことを同時並行または教育に関しての支援より先に行わなくてはならない。今回、WFPを訪問し、貧困所得層における緊急人道支援に関しては国連が非常に大きな力を持っているし、実際にこの援助がなくなったら生きていけない人がいると知ったのでこの人命を救うという重要な任務にも国連職員として携わってみたい。しかし、それだけではなく、教育分野においてビジネスに目をつけて、彼らの自立を促し持続可能な形での発展を目指し課題が解決できないか模索してみると同時に、教育分野の政策決定にも関わるという意味で国連や政府機関などでの大きな組織での経験もしてみたい。さらに定年くらいの年になったら、今までの自分のキャリアを振り返り、日本で大学教授になり、自らの経験を交えながら世界の現状について知ってもらい、海外の羽ばたく若者を増やして、海外における日本のプレゼンスを高めることに少しでも貢献できる人材に最終的にはなりたいと思っている。大きな規模のグローバルイシューに関わろうとすると、自分の立ち位置が自分でもわからなくなったり、思考が堂々巡りしてしまったりするが、学び続けていく中で「自分は何をしたいのか?何ができるのか?そのためにしなくてはいけないことは何なのか?」を常に自分と対話し、軸を見失わないようにしたい。

写真(上)カンボジア 王立プノンペン大学にて 最後の授業のとき(下)カンボジア Matei Matum(お世話になった初等教育機関)にて 先生、学生たちと

 

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